大糸タイムス主催、大糸タイムス友の会・大北医師会・大町市共催

「五十肩の予防と治療」

市民のための健康講座


 大糸タイムス社は14日、第17回「市民のための健康講座」を大町市のフレンドプラザ大町で開いた。北アルプス医療センターあづみ病院院長の畑幸彦氏を講師に、「五十肩」の症状や予防法、治療方法などを学んだ。




原因は不明女性に多い


 「五十肩」は初老期に痛みで肩が上がらない症状をいうが、俗称であって正規の病名ではない。江戸時代の漢学者が著した『俚言集りげんしゅう覧らん』で、初めて登場したようだ。人間の寿命が50年だった江戸時代までは長寿を喜ぶ病気だったが、寿命がのびた現代では治療が必要となる。
 さまざまな医者が研究しているが、原因が分かっていない。唯一、糖尿病が要因の一つと科学的に証明されている。糖尿病患者がなる可能性が高く、重症化しやすい。一定期間で自然治癒することが多いのも特徴。「肩関節周囲炎」の一つと考えられる。
 肩関節の構造は非常に複雑で、整形外科のなかでも医療の進歩が遅れていた。ここ20年弱でMRIや関節鏡などの進歩によって解明が進んでいる。肩関節の動きは多くの関節の動きで構成されている。肩の動く範囲が非常に広いため、一つひとつの関節の負担を軽くしている。
 五十肩は病気にかかりやすい年齢が40歳以上で特に50〜60歳に起きやすい。女性に多い。症状は急性期、慢性期、回復期に分かれる。
 急性期は、痛みが強く肩の動きが大幅に制限される。衣服の着脱や入浴で髪を洗うときなど制限される。痛みで眠れない、夜中や朝方に目が覚める時期が続く。
 慢性期は、痛みが軽くなるが、関節内の癒着などによって、動きの制限がひどくなる。
 回復期は、制限が徐々に改善し痛みや不快感が減ってくる。
 発症からの時期や持続期間は個人差が大きく、判断の基準にはならないが、レントゲンをとるだけで軽症か重症か簡単にわかる。
 肩に痛みがあって動かせない、じっとしていても肩が痛む、肩の痛みでなかなか眠れない、眠っていても肩の痛みで起きてしまうなどの症状が1つでもある人は整形外科の受診をお勧めする。





早期発見と早期治療が必要



 初期治療は、発症から2〜3日は無理をせず、安静を保って痛みを誘発しないようにし、腫はれや熱があれば冷やしてほしい。痛みがなくなってきたら肩を保温する。特に夜間の保温が大事。最も大切なのが発症から4、5日から少しずつでも肩を動かすこと。
 痛みが強いときは整形外科を受診し、ステロイドやヒアルロン酸の注射、外用薬を使うなどの処置をしてもらう。ただしこれは痛みをとって、リハビリをしやすくするための処置。
 夜間の痛みに対しては、ひじの下にまくらや座布団などを置き、おなかの上でクッションを抱くようにし肩を安定させる。腕をおろして寝ると、ひどい痛みが生じることが多い。肩用の保温サポーターやカイロを使用し、血流の流れを良くする。眠れないようなら、すぐに整形外科を受診してほしい。
 運動療法としては「アイロン療法」。いすや机などで体を安定させ、痛みがある方の手でアイロンや軽いダンベルなどの重りを持ち、静かに前後左右に揺らす。痛みによる力みが出ない程度の運動が適切だ。
 「壁押し体操」は壁を使って腕立て伏せを行う要領で、腕をあげる運動。横向きでは壁に指を這わせて腕をあげる。いずれも10〜20秒制止する。
 慢性期から回復期に移らない場合、「肩関節拘縮」という病名がつく。ほとんどの患者が手術をしなくても治る。治療中は激しい肉体労働や運動を禁止する。理学療法士によるリハビリを行い、肩関節周囲の筋肉をリラックスさせる。
 五十肩かなと思ったら(肩を動かして痛みを感じたら)まず自主トレをしてほしい。仰向けに寝て両膝を曲げ、痛みがない範囲で腕を限界まで挙げ、手首をもう片方の手で持って腕を伸ばした方向に引っ張り10秒間制止する。四つん這いの姿勢から後ろに腰を引いても、肩がストレッチされる。
 病院ではヒアルロン酸ナトリウムの関節内への注射をしている。痛みの軽減以外の目的として、リハビリによって傷つく可能性がある軟骨の自己修復や、関節内の再癒着の防止などがある。リハビリをやった上での注射でなければ意味がない。
 過去5年間に肩関節拘縮に対して(手術などによらない)保存的治療を行った321人(発症から受診までの期間が平均4・9か月)にリハビリを半年間行った変化を調査したところ4分の3が治った。軽症例はリハビリによって全員治った。早く受診すれば早く良くなる。
 重症例は3分の2が保存的治療で治ったが、3分の1が治らず手術をするしかない。手術は内視鏡で行い、電気メスで癒着を切断する。麻酔薬を用いながら、リハビリを4週間から2か月行う。
 手術となる危険因子は1つ目に年齢。若い人は進行が早いため、可能性が高まる。特に55歳以下で硬くなっている人は要注意。2つ目に打撲やねん挫などの外傷歴がある人も注意が必要。次に糖尿病。肩関節の動きの制限が強い人も手術になる可能性が高い。重症化する前に整形外科を受診してほしい。
 注意すべき合併症として、ごくまれではあるが、反射性交換神経性ジストロフィーという病気がある。リハビリがきっかけで手の腫れ、痛み、こわばり、しゃく熱感などの症状がでる。早期発見早期治療が必要。
 五十肩の安静は5日まで。痛みが強くならないように運動療法を。痛みが強い時や3か月過ぎても症状が改善しないときは医院や病院を受診してほしい。軽症例は6か月の保存療法で全員治る。リハビリでしっかりと治してほしい。
 肩の治療は峠と一緒。峠の手前でやめてしまうと元に戻ってしまう。峠を越えればどんどん良くなっていく。医者の指導でリハビリをがんばってほしい。







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